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2007年1月 2日 (火)

ハムスター3:子宮蓄膿症、多発生骨髄腫

もう随分前になってしまいましたが, ぴーすけ(メス)というジャンガリアンのノーマルを飼っていました。(『スイートピー』の話の子です) 1996年の秋にうちへやってきて、1998年の8月18日に亡くなりました。
生後一年で下血の症状が出てました。
当時メスのハムスターの病気としてもっとも一般的に知られていた『子宮蓄膿症』の疑いでしたが、飼い主的に納得の得られる治療を受けられず、病院を4回変えた子です。
そして解剖の結果、死因は全く別のものであった、という話です。
病歴についてのログは現在(2007年1月)捜索中です。

当時はまだ飼育の情報が今程無く、まだインターネットも一部の人のものでした。
ハムスターはすべて一括りで考えられて、ゴールデン(シリアン)とドワーフの区別もあまり重要視されていませんでした。
そういったハムスターを診ることができる獣医さんの少ない時期、先生が自らの勉強の為に解剖を引き受けてくださったことは、今のハムスターたちを少しでも助けるものになっていると信じています。

以下,@ニフティ(まだニフティ・サーブであったころ)のペット・フォーラムグループのFPETMAM(ペットほ乳類フォーラム)のハムスター齧歯目の飼育と健康の話題を扱っていた掲示板(そのころは会議室といいました。現在は閉鎖)『集めた巣材』にアップしたテキストです。
(@NIFTYのフォーラムは2007年3月をもって終了)

これをアップしたのは、1998年の年末であったと記憶してます。

以下、本文当時のまま転載(文責:Mika)


解剖でわかったこと(元タイトルのまま)

 こんにちは、みなさま。 Mika です。
 大分時間がたってしまいましたが、子宮蓄膿症で長患いと思われていた
 先月亡くなったうちの ぴーすけ(ジャン・メス・当時1歳12か月)の病理
 解剖をお願いして、わかったことを報告にあがりました。
 その結果、この場でアップしても果たして皆様にお役にたてるかどうか
 わからない事実がでてきて大変に迷いましたが、なにかしら医療のヒント
 になるものがあるかもしれないと思い、獣医さんの説明で理解出来た範囲
 をアップいたします。興味の無いところは、飛ばして読んで下さいませ。
 尚、この会議室でのアップのことはあらかじめ解剖を執刀してくださった
 先生にも作成したこの文章をお見せして、許可をいただきました。
 話が説明の関係で前後いたしますが、ご了承下さい。

■解剖の時点でわかったこと■

 ★直接の死因は腹腔内出血による出血死。
  腹腔内全体にどこからか出血した形跡が見られた【※1】
 ★脾臓が通常のジャンガリアンハムスターのものの6〜7倍の大きさ
  になっていた。【※2】
 ★下顎に脂肪腫。 
 ★肝臓にも黒い小さな斑点(血斑?)
 ★卵巣・子宮に蓄膿はなかった。【※3】
 

細胞診のあとに推察できたこと
 内臓をサンプルに細胞診をおねがいした結果から、先生の見解を含みます。

多発生骨髄腫の可能性
 骨髄はサンプルに取らなかったのですが、肝臓、脾臓、消化管壁等に非常に
 多量の「形質細胞(a)」が見られました。
 ぴーすけ は「形質細胞腫」の中の一種、「多発生骨髄腫」(大ざっぱに
 言うと白血病の一種)であった可能性
が大きいそうです。
   (a)形質細胞とは白血球の一種で、それを作り出す骨髄の中の幹細胞
     に異常をきたし、必要以上に大量に作り出されていたとかんがえ
     られます。
   形質細胞ばかり作り出されるために他の血液中の細胞がおろそかにされ
血液を固める血小板も足りず、【※1】の出血が死につながった可能性
  もあるのではないか、のことでした。
 異常増殖していた形質細胞が、脾臓や肝臓、消化管壁に集積していて
 そのために【※2】脾臓が大きく腫れていました。
 
子宮内膜の過形成(厚くなっていた)
  子宮内膜の過形成で、子宮(卵巣)は通常の2〜3倍に腫れていました。
  これは、過去には嚢腫があったという形跡で、脾臓のように形質細胞の
  せいで腫れていたのではないということです。
  死亡の時点では蓄膿はありませんでした【※3】。これは抗生物質の投薬
  などの処置が早めに行われていたため、うまくコントロールされて症状の
  進行がおさえられたのではないか、ということでした。
  これがキチンキトサンの効果かどうかははっきりわかりません。
  ですが抗性物質の投薬を切って、キチンキトサンの投与をしてから10日程
  で出血がとまり、その後はそれまでに度々あったように、出血を伴いながら
  元気が無くなることや食欲が低下すること亡くなるまではありませんでした。
  
★直接の死因は腹腔内出血による出血死【※1】
 亡くなる直前に腹腔内のどこかから出血があったらしいことは解剖に立ち合って
 ワタシも見せていただき理解できました。但しその原因やどの臓器からの出血か
 はわかりませんでした。おそらく、腫れて限界に来ていた脾臓【※2】のあたり
 のどこかが、圧迫されるなどして、血管が切れたか、破裂したか、ではないかと
 の推測でした。
 亡くなる直前の身体のチェックに無理がかかったのかもしれません。
 そんなに強く押したりはしなかったつもりなのですが、ぴーすけの死が長患い
 であったのに、突然であったことを考えるとそれが原因かもしれません。
 しかし、形質細胞腫であることを考えると、遅かれ早かれ大きな出血があれば
 助からないところまで来ていたそうです。

★多発生骨髄腫について
 形質細胞腫の中の多発生骨髄腫は人間でもあるのですが、大変にめずらしく
 そう頻繁にはないそうです。また人間の世界では「難病指定」のある病気で、
 完治は大変に難しいそうなのです。
 ハムスターについては過去の症例の記録を先生も見たことが無いためこの病気
 が多いものかどうかはわからないそうですが、おそらく大変に稀なものであった
 のでは、ということでした。
  おそらく解剖しなければ発見が出来なかったため、防ぎようがなかったことで
 した。(もしも発見出来ても、治療は大変に困難であろうとのことでした)

*****************

〇この病気は「こうすればなる」「こうすればならない」という類のもの
 ではないため、飼育上の注意点はありません。

〇多発生骨髄腫はおそらく極めて稀な例です。子宮蓄膿症とのつながりはありま
 せん、まったく別々に発病したと考えてください。
 
〇結論としては、だれもが思っていた「子宮蓄膿症」で亡くなったのではあり
 ませんでした。
結果として子宮蓄膿症の経過はよかったのですが、皮肉なこと
 にまったくそれとは関係の無い、とても難しい病気に侵されて、間接的ですが
 それが命を奪うコトになりました。
 
〇解剖をお願いして思ったのは、理由のわからない突然死にはなにかしら
 病気があることも多いのではないか
ということです。
 
 この文の責任は Mika にあります。
 内容的におかしいと感じる箇所がありましたら、どなたさまでもご指摘くださ
 れば幸いです。
 わかり辛いうえに、本当に長くなってごめんなさい。<(_)>

**** Mika ****

(原文ここまで: 1998年)


文章等当時のままですので、今では常識が変わってきているところもあります。
また獣医さんは小動物を専門にしている方ではありません。


■追記 2009.09■

●出血死について

----------------
形質細胞ばかり作り出されるために他の血液中の細胞がおろそかにされ
血液を固める血小板も足りず、
【※1】の出血が死につながった可能性もあるのではないか、
とのことでした。

----------------

これは、可能性としてはあるけれど、他にも内臓組織の劣化などあったと思います。

●このころから動物の健康食品についてずいぶんと言われるようになってきていました。

 文内に「キチンキトサン」とありますが、粉末で出してもらっていましたが、
 それが直に子宮蓄膿症に効いたかどうかは、今は疑問です。
 薬ではないので、何かしら健康を維持するサポートはしたと思いますが、
 蓄膿がなかったのは子宮自体が老齢ですでに機能していなかったか、
 あるいは蓄膿までいかない症状であったのではないかと、今は思っています。

 骨髄腫のせいかどうか、貧血はかなりあったと思います。

 この頃からアガリスクなども多く出される傾向がありました。腫瘍などが
 ハムスターの病気に一般的に多いとされ認識され始めたのもこのころで、
 βグルカンの効能に期待するところが大きかったのかもしれませんが
 そういった健康食品に対する飼い主さんの間の「過信」のような傾向も
 ワタシはこの時期から気になりはじめていました。
 治療に対する選択肢が少ないので当然のことではありますが、そういった
 過信につけこむ業者などが多いことも、少し考えてないといけない気がします。

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